黒い追跡者

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愛犬と散歩に出かけた帰り道。わたしたちを追跡する黒い影に気づいた。一羽のカラスが、住宅街の空を覆う電線を止まり木にしながら付いてくる。

・・・いえ、付いて来ても構わないんだけどね。追い抜くたびに、まるで威嚇するように、わたしの頭や肩をかすめて飛んでいくのはなぜ?もしかしてわたし、君に何かした?そんな覚えはこれっぽっちも無いけれど、気づかないうちに何か気に障るようなことをしてしまったの?だとしたら謝らせて〜。と、思ってもカラスさんには伝えられない。

翼で風を切る音が耳元で聞こえるくらいの至近距離を飛んでいくカラスさん。あの頑丈そうなくちばしで突かれたり、するどそうな爪で引っかかれたりしたら、かなり深い傷を負うのではないかと思うと怖かったので、ここは退散してもらいましょうと、デジカメを向けてみた。わたしが今まで見たカラスさんたちは皆、デジカメを向けると慌てて逃げていったので、この追跡カラスも同じように逃げるのではないかと思って。嫌な事だと解っていることをするのもなんだか気が進まないけど、わたしと愛犬の身を守るため、致し方ありますまい。なので「ゆるせよ。」と心の中で呟きながら、ポケットからデジカメを取り出してカラスに向けてみる。けど、なんたること。このカラスは逃げないではありませんか。嫌いなはずのデジカメを我慢してでもわたしにガンをつけ続けるほどの深い恨みがあるの?それとも春は繁殖の季節であり、そのせいで神経質になっていて、縄張りに侵入した(のかもしれない)わたしに怒っているの?結局このカラスさん。自宅までずっと付いて来た。

しかし、実は恨んでいての追跡ではなく、逆に何かの恩返しをしようと思って自宅を調べるために付いて来たんだったりして。ある朝、目覚めると自宅前に味噌やしょう油や砂糖、それから野菜類やモチなどがどっさり置いてあったりして。などという傘地蔵的な結末を、無理やりに楽観的に予想してみる。けど、んなわけないよなぁ・・。一体何だったのでしょう?

・・・ケチャップは買い置きしてあるから買わなくてもいいやと思っていたら、実は買い置きしてあったのはマヨネーズだった。明日もまたスーパーへ行かなくちゃ。ケチャップだけ買いに〜。