スーパーマーケットのサムライ

2日前、札幌にも初雪が降りました。今年の冬の使者は平年より16日遅れての到着なのだそうです。今年は遅かったのですね。初雪が降った日の朝は毎年、カーテンを開けると目に飛び込んでくる白い世界にハッとして、そしてわけもなくはしゃいでしまいます。初雪はたいてい、すぐに融けてしまうものだけど、昨日は冷え込んでいたので、軒下などの日陰の雪は、お昼過ぎまで融け残っていました。朝夕だけではなく、日中でもストーブ大活躍な季節の到来ですね。

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ちょっとカゼ気味だけど、今のところ悪化もせずに元気に過ごせています。いろいろと用事をこなしに出歩くことが出来るのは本当にありがたい。今日も所用をこなしに出かけて、帰りがてら近所のスーパーマーケットに寄って買い物をしてきました。そのスーパーマーケットでのこと。

昨日の夜からやたらと食パンが食べたくてたまらず、キャベツとトマトとハムとチーズのホットサンドが何度も頭の中をよぎるほどだったので、まずは食パンを手に入れるべく、まっすぐにパンの棚へ向かいました。が・・・そこにはなぜか全身から威圧感を放つ男性が微動だにせずに佇んでいたのです。それはまさに仁王立ち。年のころは20代の半ば、背は190センチ以上はあろうかという体格の良さに、口元を覆う無精ひげと、肩につくほどのボサボサの長髪。ただでさえ目立つ風貌のその男性は、背を丸めて首を少し前に突き出し、目を細めて前方の何も無い空間を睨み付けていました。

「こういっちゃなんだけど、でも、はっきり言って・・・こわい。どうしたんだろう?なんか怒ってる?ど、どうしよう、パンが買えない。食パンに近づけない・・・。」そう思いながら、少し距離のある場所で立ち止まってしまったわたし。しかし次の瞬間、その男性はコクリとうなずくとパンの棚へとすばやく手を伸ばし、6個入りのアンドーナツを1パック手に取った。そして2秒ほどアンドーナツをじっと見つめたのち、レジへ向かい、列に並んでいる彼女(もしくは奥さん?)の持っているカゴにアンドーナツを入れたのでした。

ああ、そうか。あの男性は、アンドーナツを買おうか買うまいか、迷っていたんだね。しかも彼女(もしくは奥さん)はすでにレジに並んでしまっているので、決断に猶予が無かったんだね。それで厳しい表情になってしまっていたんだね。それが解って心の底からほっとしたわたしは、胸をなでおろしながらパンの棚へ向かい、無事に食パンを手に取ることができたのでありました。

いやしかし、あの男性、そのままノーメイクで時代劇に出られそうな風体だったなぁ。着物を着て、草履を履いて、刀を腰にさして、浪人役なんてぴったりかもしれない。人目を引くようなダイナミックな雰囲気を纏ったあの男性、実は本当に役者さんだったりしてね〜。

わたしが出会ったスーパーマーケットのサムライは甘味好きなのでしょうか?お会計の後、率先して買った品をレジ袋に詰めていた姿に胸がキュンとしました。