ポケットの中ではビスケットがぐっしゃぐしゃ

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月に一度の東京への出張が恒例となっている相方。今月はそれが先週末だった。

出掛ける直前に彼は、「お土産にまりもっこり買ってくるから!」と元気に言っていたのに、帰宅してもそれを渡してくれる気配が微塵も感じられなかった。いつもならドアを開けるなりポケットやカバンをごそごそ探って真っ先にお土産を取り出すというのに、今回は少し沈んだ面持ちで「ただいま〜」と言ったきり、まっすぐ自分の部屋へ入っていってしまった。

あれ?なんだかいつもと違う。もしかしてなにかいやなことでもあったのだろうか。寝不足で体調が悪いのだろうか。そっとしておいたほうがいいのだろうか。

部屋のドアはいつもあいている。犬と猫が自由に行き来できるよう、ドアはあけ放してあるのだ。そのかわりそれぞれの部屋の入口にはのれんをぶら下げてある。ドアが四六時中開けっぱなしだとなんだか落ち着かないような気分になるけど、のれんが下げてあると視界が遮られるので、それだけで安心感があり落ち着くのだ。そののれんの隙間から、相方の姿が見える。床に座り込み、大きな旅行用のカバンをひろげて中をかき回している。眉根を少し寄せているので、その顔はなにか思い悩んでいるようにも見える。もしかしたら東京で、何か困ったことが起こったのかもしれない。声をかけようかとも思ったけど、わたしは自分の部屋に引っ込んいることにした。隣の部屋からはごそごそとカバンの中身をあさる音が聞こえ続けていた。

しばらくののち、もぞもぞした音が止んだと思ったら相方がわたしの部屋の戸口へやってきた。そしてそこへ立ったまま、こう言った。「おれさー、羽田でまりもっこり二個買ってきたんだけどなくしたみたいなんだよ。もしかしたら地下鉄の駅のゴミ箱にゴミ捨てたときに一緒に捨てちゃったかもしれない。ポケットの中の要らないものごそっと捨てたんだけど、その中にまりもっこりも混じってたのかもしれない」

なーんですってえええー。な、なんたる悲劇。まりもこりってけっこう高いよ。一個500円近くするでしょ。それが二つで約千円よ。それをまっさらなまま捨ててしまうなんてもったいないもったいないもったいないっ。泣ーけーるー。

おのれのうっかりとは言え、まりもっこりを捨ててしまうという悲劇に見舞われた相方は、家に帰りつく直前にそのことに気づき、それでブルーになっていたのだそうだ。なるほどそれで沈んでいたのか。気持はわかる。さぞショックだったことだろう。捨てられてしまったまりもっこりは今どこにいるのだろう。大量のゴミと一緒に焼却炉の中だろうか……い、いやあああー!かわいそうー!

その後、相方のスーツのポケットの中から粉々になったお菓子が出てきました。東京でもらったお菓子だそうです。まりもっこりは捨ててしまったけど、これは捨てなかったんだなーと思いながらおいしくいただきました。顔を上に向けて、口の中に粉々になったお菓子を振り入れて食べました。パン粉みたいな食感でしたがおいしかったです。