武器を封じて錠剤を

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わたしの考えが甘かった。トラ猫のウピピに薬を飲ませるのは、ひとりでもなんとかなると思っていたのだ。二粒の錠剤を右手の指先でつまみ、左手でウピピの口をこじあけて、薬を喉の奥へ放り込もうとした瞬間、威力抜群の猫パンチが飛んできて右手の小指の付け根にするどい爪がぐっさり。とっさに手を引かなかったので肉が引き裂かれることはなく、爪が深く刺さっただけで済んだのは不幸中の幸い。逃げ出すウピピが爪を引き抜いたあとには、ぽっかりとした穴が開いており、そこから赤黒い血がどろどろ出てきてしたたった。あう。痛い。めちゃめちゃ痛いしなんか怖い。爪がね、小指の骨にかつんと当たったような気がしましたよ。じんじんするような痛みはひじから二の腕あたりまで広がって、全身の力が抜ける。とりあえずは血をぬぐいテラマイシンを塗ってティッシュを巻いておきましたが、猫の最大の武器は前足の爪だということを改めて思い知らされました。甘かったよわたし。

その後は相方に応援を頼み、二人がかりでどうにか薬を飲ませることに成功しました。わたしがウピピの前足をしっかり押さえて固定し、相方が口をこじあけて薬を放り込み、飲み込むまであごを押さえて口を閉じさせた。ごくりと飲み込むと舌を出して口の周りをぺろんぺろん舐めるのでわかりやすいです。しかし二人がかりといっても大騒ぎ。ウピピは怒ってうーうー唸るし、頑として口を開けようとしないしで大変です。かわいそうだけど、薬を飲まないと病気は治らないので仕方がない。ここは我慢して朝夕の薬を飲んでねウピピ。

そんなドタバタを繰り返して数日後、相方が出勤してしまった後に薬を飲ませていないことに気付いた。少し寝坊した朝であわてていて、二人ともすっかり忘れていたのだ。ピーンチ。これはまずい。具合が悪くなってまた入院して治療ということになれば再び10万円くらいふっとんでしまうかもしれない。できればそれは避けたいし、なによりウピピがかわいそうではないか。よーし、どうにかして飲ませよう。二粒の錠剤を。

とりあえず前足を封じてしまえばなんとかなるだろう、ということで。大きめの布でウピピをくるみ頭だけ出した状態にして、その上に覆いかぶさるようにして左手と両足で固定し、右手で口を開けさせて薬を押し込んだ。……ミッション成功。武器封ずれば錠剤もまた恐るるに足らず。でも嫌がりMaxだと噛んだりするのかなーと思うと少し怖かった。暮らしの身近なリーサルウェポンに薬を飲ませるのは大変です。

小指の傷も今はふさがって、小さなかさぶたになりました。痛みもすっかり引いてくれたのでもう大丈夫なようです。っていうか猫の爪って伸びるの早いね。入院前の具合悪さピークのときに申し訳ないなと思いながらも一応切っておいたのに、退院してきた頃には切り方の甘かった爪がするどく伸びきっていてぐっさりいってしまったのです。まず爪チェックすべきでしたね、ははは(涙)

※追記です。テラノマイシンではなくテラマイシンでしたね。「ノ」はいらないよ。間違えたので訂正。