さじ加減

ハンバーグが食べたい。けど、作るのはつらいかもしれない。そうもらしたところ、ならおれが作るよと相方が言った。そう?作ってくれる?とても助かるよ。体調のよろしくないときにはなかなか手の込んだ料理を作る気になれなくてね。焼くだけとか、電子レンジでチンするだけとか、包丁で刻んであえるだけとか、それくらなら大丈夫なんだけど。じゃあ、この料理の本に詳しいレシピが載ってるから、これでよろしく。思いがけず手作りハンバーグが食べられることになった。具合が悪いときに料理を作ってもらえるのって本当に嬉しい。ありがとう。

台所で相方が働いている。みじん切りの玉ねぎを炒めて冷ましておく、パン粉を牛乳に浸す、ボウルにひき肉タマゴ調味料とさっき用意した玉ねぎとパン粉をを入れてこねる。いくつかに分けて丸める。空気を抜いて形を整え焼く。そのあいだわたしはサラダと果物の用意。これだけならなんとかできますよ。そうこうしているうちに、いよいよハンバーグの焼き上がり。ごはんを用意していただきます。ハンバーグはふっくらジュージー、肉汁がじゅわっと沁み出てくる。うん、おいしい、と、言おうとして固まった。あれ、なんか、やたらしょっぱくね?っていかものすごくしょっぱくね?顔が自然と歪んでゆく。口がへの字になる。脳天に突き抜けるような塩辛さ。い、一体なぜ?

わたしより先にハンバーグを口にした相方は首をかしげながら、おかしいなイマイチだ、と言っている。はっ、まさか、こ、これは。ねえ、塩どれくらい入れたの?と聴いてみる。料理の本に書いてあったとおり、ひき肉300グラムに対して大さじ三分の二だよとの答え。……大さじ?レシピをチェック。すると案の定、小さじ三分の二となっている。大さじと小さじを間違えましたね。

わたしはその後、ひとつのハンバーグをなんとか食べきった。しかし、もうこれ以上は食べられない。しょっぱすぎるのだ。わたしの我慢できる範囲を超えている。焼き方もいい感じでふっくらしたハンバーグなのに塩辛い。それさえなければとてもおいしいハンバーグだっただろう。もったいなっ。あまりにももったいなっ。相方はハンバーグを多めに作ってくれたのだ。冷めてからラップで包んで冷凍しておけば、しばらくメインディッシュには困らない。サラダとかスープを用意するだけで食事ができるはずだった。しかし、もう無理。食べられないよ。なんて悔しいさじ間違い。

残りは相方が責任もって食べるそうだけど、塩分過多じゃなかろうか。ちょっと心配。せめて数日おきに食べてね。ハンバーグはしょっぱかったけど、作ってくれた心意気にありがとう。この悔しさをばねに時間のあるときに再びハンバーグに挑戦するようです。期待してますよ。

冷凍庫においしそうなハンバーグがある。でも、そいつはめっちゃしょっぱいのだ。なんかね、ほんと悔しいわね。