セルフ胃洗浄への道、ストロング系チューハイとわたし その3

とにかく気持ちが悪くてしかたがなかった。吐いてもすっきりしない。脱水症状が怖くて、嘔吐のあとしばらくしてから水を飲んでみるけれども吐いてしまう。わたしはそうして一晩中、あまりの具合の悪さに眠れずに何度も吐いた。最初は昼食に食べた物が水と一緒に、あとになると胃液だけが水と混じって出てきた。そんなふうに全然水分は摂れなかったものの、用を足したくなってトイレに行くとちゃんと出るではありませんか。飲んだ水を全部吐いていたわけではなく、少しは吸収されていたらしい。脱水症状かどうかをはかるために手の甲の皮膚をつまんでみるとすぐに戻る。大丈夫なようだ。ものすごく気持ちが悪いさなかでもわたしはその点には感心していた。必要な分はちゃんと取り込めるんだなと。人体の神秘だ。うまくできているものですね。緊急事態対策マニュアルが備わっている。

吐いて、しばらくしてから水を飲んで、また吐いて。出てくるのは胃液の混じった水だけ。このセルフ胃洗浄とも言えるような行為を、わたしは何度繰り返したでしょうか。正確には覚えていないけど、たぶん5回くらいだったんじゃないかと思う。明け方の5時ころになってようやく眠気が訪れたので、ソファーの上で1時間ほどうとうとして、目が覚めたらトイレに行って用を足した。吐き気はもうしない。何度も吐いて、ようやく何も出すものがなくなったようだった。すっきりしたわけではないけど、なんとか動けるようになり、ほぼ寝ていなかったけど朝ごはんの準備をして息子を起こし、食べさせて学校へ送り出した。彼には「お母さんきのうは何回も吐いてたね。ずっとおえええええって聞こえてたよ」と言われてしまった。安眠を妨害してすまなかったね。

自分も身支度をして出かける。朝ごはんは食べていない。水を飲んでみたら吐かずに済んだのでとりあえず様子を見ることにした。そしてその日は普通に過ごすことができた。ポカリを飲んでも吐かなかったのでほっとしたし、昼食も普通に食べることができた。ひと晩かかってストロング系チューハイを体外へ出したのだ。しっかり酔うほど吸収してから吐き戻すというのはこんなに大変なことだったんだなと思った。そしてそんなことができる人体のすごさを感じた出来事でした。セルフ胃洗浄はマジで苦しかった。

ほぼ寝ずに夜を明かしたのに、その日は普通に過ごしていたわたし。心のなかでは「だれもわたしが明け方5時までげーげー吐いていてしかもうたた寝1時間しかしていないことなんて知らないんだよな。けっこうやばかったけど素知らぬ顔しているもんね」と思っていました。みんな普通に働いているけど、そういったことを隠しているかもしれないんだ。お酒に飲まれて苦しい夜を過ごしたり、フラれたり、とんでもなくいやなことがあったり、病を抱えていたり。人にはそれぞれいろんなことがあって、そんななかでも礼儀正しく過ごしているんだ。セルフ胃洗浄を超えてそういったことに思いを馳せていこうと改めて思った出来事でした。

その後、わたしはしばらくお酒を見るのもいやになりました。よみがえるあの気持ちの悪さ。もう一生お酒飲めないかもと思っていたけど、しばらくしたらまた飲めるようになりました。でもストロング系チューハイだけは飲めません。あまりの怖さに手を出す気にはなれないのです。お酒に弱い人や、アルコールにまだ慣れていない人がぐいぐい飲むのは本当に危険なものだと思いました。これで一気なんてなんてした日にはもう最悪の事態になってしまうかもしれません。強い人はぐいぐい行っても大丈夫なんだと思うけど、人間ってここまで差があるものなんだね、個体の違いってすごいや。強い人ならコスパよく酔えて最高なのかもしれない。

危ないからお酒に弱い人は飲んだらダメなんだぜストロング系。自分がどこまで危なかったのかはわからないけど、もう2度と飲むまいというかもう怖くて飲めなくなるくらいのトラウマにはなりました。ふっ、これを楽しめない自分が情けないんだぜ。お酒に強くなりたいと思ってビールをちょくちょく飲んでいたけど無理だったみたいです。これからもたまにたしなむ程度にしておきます。

具合の悪いピークには救急車を呼ぶことも頭をよぎったけど、自力でなんとかなってよかったです。

セルフ胃洗浄への道、ストロング系チューハイとわたし これにて完結。ではおやすみなさい。良い夢を。お酒の弱い人はストロング系抜きでね。