轟音を聞くたびに思うこと

夜、眠る前のまどろみの中。暗い部屋の中で横になりながら、1本向こうの大きな通りを、車が走ってゆく微かな音を聞いている。目を閉じて聞き耳を立て、その音を探し、捉え、遠ざかって聞こえなくなるまで追いかける。そして、安堵する。わたしがこうして一日の活動を追えて横になっていても、世界はまだ動いていて、決して止まらずにいることを、明日目覚めても世界はきちんと存在しているということを、わたしは確かにその世界の一部なんだということを教えてくれるようで。この夜の深さに優しく包まれているような、そんな心地の良さを覚える。

最近はすっかり運転席には乗っていないけれど、以前は頻繁に車を運転していた。だから、運転席から見る、この夜の街の風景を、頭の中に思い描くことが出来る。人気が無い夜の市街地は車もまばらで、昼間の表情とは全く違った、どこか艶っぽい表情を浮かべている。この季節の夜の街は特にそう。居ても経ってもいられない気持ちにさせられるような、そんな魅力を湛えている。

ただ1人で、艶やかな闇の中を走り行くと、フワリと夜の中に浮かんでいるような感覚を覚えた。なんとも言いようの無い、高揚感。わたしは、夜の腕に抱かれながら、イマジネーションの中、穏やかな気持ちになって行く。車のボディーが、空気を押しのけて震わせるその音を、眠りに落ちるまで追い続ける。コンディションによっては追えない時もある。けど、大抵の夜には追いかけている。

しかしそんな中、突然大音量が聞こえてくることがある。週末に多いその音は・・・。「ぱらぱぱらぱらぱらぱらら〜!」というクラクションが奏でるおなじみのフレーズだったり、ふかし過ぎのバイクのエンジンが立てる轟音だったりする。雪が解けるとこういった方々が増えてらっしゃる。先週末の真夜中には、特に気合の入ったエンジン音が、静まり返った住宅街に響き渡っていた。

暴走行為をしていて命を落とされる方もいると聞きます。とにもかくにも、危ないことはしないで欲しい。どんな事情があるのかは解らないけれど、でも、もっと自分を大切にして欲しいとわたしはいつも思うのです。