夕霧ジャーナル

ブランクはありますが2005年から長く続いているブログです。

つながり大根スープとイエティ親子の物語

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調理時間をできるだけ短縮しようと思い、スープに入れるための大根を薄切りにした。具は薄く小さく切ったほうが火の通りが早い。カレールーの箱の裏にだってそう書いてある。それはいいとして、急いで作業したせいか大根がきちんと切れていなかった。なんだかこう1ブロックごとにつながっているような感じでそんな固まりがいくつもある。あちゃーこれは失敗、と思っていたら。

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完成の図。煮込んでいるあいだにつながり大根はほぐれてばらばらに。結果普通の野菜スープになりました。ちょっとだけつながっていたんだね。軽い症状でよかったです。大根と人参のほかに白菜としいたけとウィンナーも入れたコンソメスープ。あとは鶏肉のから揚げとゆでたブロッコリーに白いごはん、これがこの日の夕食でした。品数はいつもこれくらいだぜ。めんどくさいからな。へへっ。

ものすごく冷え込んでいたのに一転、昨日から今日の午前中にかけてはけっこう暖かく札幌の積雪はゼロに。積もっていた雪も消えて季節がわかりにくい景色になっています。雪がない。きんきんに冷えたかと思えばぬるま湯のようになったりして安定しない天気ですね。でも北海道の冬です。また縮み上がるほどに気温は下がり、雪もどっさり降ることでしょう。そして去年のいまごろの記憶。

あの日の夕方、児童会館へ息子を迎えに行った帰り道。時刻は午後5時くらい。天気は猛吹雪。ひどい雪と風であたりは真っ白。視界かきかず、信号機や街灯の明かりも絶え間なく吹き付ける分厚い雪の向こうにぼんやりとかすんで見えていた。あれはホワイトアウトと言われる状態だったんだと思う。通いなれた道だからこそなんとか歩けるけれども、これが見知らぬ場所だったら迷子になっていたかもしれない、そう思うほどだった。そんな悪天候を怖がる息子。でも、シーズン中に何回かはこういった天気の日がある。わたしは齢45歳。45回の冬を経験してきた身としてはこの悪天候もそんなに怖いものではない。見なさい、これが北海道の冬だ、そんな気持ちだった。そしてそのとき、帰路の途中にあるいつものドラッグストアのそばにさしかかった。そういえば米がもうすぐ切れそうなんだった。買って帰るか。歩道は容赦なく降り積もる雪で埋まりかけていて足跡もない。こんな天気の日に歩いてドラッグストアへ行く人はあんまりいないだろう。それでも歩けないほどの雪ではない。ちゃんと防寒ブーツ履いているからね。人間ラッセル車かよと思いながら、のっしのっしと雪の中を進んでドラッグストアへたどり着く。息子もわたしも雪で真っ白け。入り口手前で雪をばしばし払って店内へ。やっぱりすいている。でも誰もいないわけではない。ぽつぽつとお客がいる。静かで、いつもと変わらないBGMが流れていて、荒れ狂う外の天気と比べたらまるで天国のような店内。ほっとすると同時に帰りはまたあの吹雪のなかへ出ていくのかと思うと面倒な気分にもなる。いつものお米コーナーへ向かい、5キロの米を1袋、棚から引っ張り出して抱える。そのとき、酒のコーナーが目に入る。酒はなぜか米と隣り合っている。わたしはこの時期、ものすごく荒れていた。息子の交通事故関係のあれやこれやでとてつもないストレスがかかっていたのだ。酒でも飲まなきゃやってられない。毎日そんな気持ちだった。そして本当に毎晩飲んでいた。つらい現実を忘れたくて、つかのまの酩酊を求めて、酒の飲めないわたしが毎日飲んだくれていたのだ。こんな日が来るなんて思いもしなかった。そしてわたしは赤ワインを1本手に取った。今日もこれを飲んで、酔っているあいだだけでも、なにもかも忘れよう。そう思いながらレジへ向かい、会計を済ます。外へ出る。子を後ろに歩かせ、吹雪の直撃を受けながら、雪が眼球に当たらないように目を細めて歩くわたしの小脇に抱えられているものは米とワイン。……何これ?

ヒマラヤの山奥で暮らすイエティの親子。母イエティは今日も近隣の集落に暮らす人々のお手伝い。薪や食料を運んだり、家畜の護衛をしたりして感謝されている。お手伝いが終わり、村人のこどもたちと遊んでいた子イエティを呼び戻して山の洞穴へ帰る。帰路は天候が悪化。怖がる子イエティを励ますため、猛吹雪のなか歌をうたって進む。今日は村人たちに米とワインをもらった。それらを大事そうに小脇に抱えながら雪をかきわける。洞穴に着くと薪をくべて火をおこし、子イエティはその日のそばで温まる。母イエティはもらってきた米を炊き、子とそれを食べながらワインを飲むのであった。

という想像が頭のなかで繰り広げられた。イエティか。イエティなのかおまえは。いつの時代のはなしだ。そしてどこの国のはなしだ。米とワインっていう組み合わせがわかりにくい。小麦とワインじゃないのか。米なら日本酒じゃないのか。雪まみれになりながら、この状況は突っ込みどころがありすぎて冷静に考えてみるとおかしいことに気づいて吹いた。ホワイトアウトのなかで。

歌は本当にうたっていた。アナ雪の歌。なんか雪に似合うような気がして。風がごうごうとうなっていたからたぶん誰にも聞こえてないと思う。息子は怖がりながらもそれを聞いて笑っていた。

あれから1年。ストレスはだいぶ減った。わたしはもう毎日飲んではいない。酒はいつものペースで、たまに飲みたくなり月に1回から多くて3回くらい飲む程度。そしてあのころは飲んだくれていたといってもワインを1本空けるのに4日かかっていた。下戸が飲んだくれるといってもこの程度だ。しょぼい。ワインって開けた瞬間から酸化するんじゃないの?4日目って飲んでも大丈夫なんだろうかなんか体に悪そういやだなーと思いながらももったいないので飲んでいました。ええ、飲み切るのに4日かかるんですよ。それ以上のペースでは無理でした。

吹雪の季節がまたやって来ました。またイエティする日があるのかもしれません。今年はアナ雪2の歌をうたおうかな。冬休みに観に行く予定なんですよ。楽しみー。